第90話 かちめなし

あらすじ

デュークは機関車仲間のヒーローです。
これから、彼のお話をします。

ピーター・サムがスチュアート、サー・ハンデルがファルコンと呼ばれているころ、毎年、山や湖は観光客でにぎわいます。
そして、一番の人気者はデュークでした。

彼は、具合が悪い時も休まずに列車を引っ張っていました。

デュークは毎朝、お客を乗せて線路をのぼり、お客の希望通りに停車します。

ある日、デュークは気分がすぐれません。
蒸気が足りないので、休憩になるとホッとしました。

機関士と助士が掃除を終えた時、スチュアートが勢いよく滑り込んできました。

「じいさん、どうしたの、息が切れた?」

スチュアートがいいます。

「これは毎日の手入れだ」

と、デュークはいいます。

すてきな夕暮れのおかげで、デュークの怒りはすぐにおさまりました。

線路が登りになりました。

シュッポ、シュッポという音が、ゼー、ゼーにかわります。

やっと、駅にたどり着きました。

機関士が慎重に点検しています。

乗客が心配そうに、報告を待っていました。

「デュークはこのまま、走ります。機関車が2台、応援にきます」

ファルコンが先頭に、連結されます。

スチュアートは後ろにまわります。

3台は出発しました。

次の駅に着いたとき、連結がほどかれました。

ファルコンがデュークの乗客を船に運びます。

そして、スチュアートがデュークと列車を引っ張ることになりました。

デュークのバルブの音はますます、大きくなります。
でも、蒸気はたっぷりあります。
そこで、彼と機関士はいたずらを考えつきました。

彼らは丘に着くまでジッと、我慢しました。

「いまだ!」

機関士が怒鳴ると、ここぞとばかり、デュークは思いっきり蒸気を吐き出します。

まるで、デュークがスチュアートを、押しているように見えます。

終着駅に着くと、みんながワイワイと出迎えてくれました。

「なにがあったの、パパ。普通、機関車は2台もいらないでしょ」

「ああ、故障したスチュアートをデュークが押したんだよ」

いたずらは、成功しました。

「ばっかみたい」

スチュアートは怒って、蒸気の影に隠れてしまいます。

デュークがそばにやってきました。

「まだまだ、考えが甘いぞ。おまえに勝ち目はないね」

出演
・デューク
・ピーター・サム(スチュアート)
・サー・ハンデル(ファルコン)

デュークは機関士とふたりで、うまいことやりましたね。
だてに歳をとっていないようです。


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