第50話 ゆうれいきかんしゃ

あらすじ

「それでさ、毎年事故のあった日になると、みんなに注意でもするように走ってきて、幽霊みたいな悲鳴をあげながら、通り過ぎてゆくんだよ」

「なんのこと話してるんだい?」

「幽霊機関車さぁ。機関士が夕べ見たんだって」

「どこでさ~」

トーマスとトビーが聞きます。

「わかんないけど、考えただけで震えちゃうよ」

「まったく臆病だな、ぼくはちっともこわくないね」

「トーマスはちっとも信じてくれないんだ」

パーシーがいうと、機関士が笑った。

「あれはだたの作り話だもの」

パーシーはガッカリしました。

その夜、パーシーは港からの帰りでした。帰り慣れた道なので、暗闇でもどこを走っているかわかります。

パーシーは夜走るのが、好きでした。
レールはブンブンうなり、信号は緑に光っています。

けれど、前方に石灰を積んだ荷車がひっくり返っていました。
荷車を引いていた農夫が助けを呼びにいって、そこにはだれもいません。

荷車は木っ端微塵に壊れました。
あたり一面、石灰だらけになってしまいました。

パーシーは慌てて、近くの信号所に駆け込みます。

機関士が信号士に事故のとこを説明しました。

信号士は幽霊みだいだといいます。

パーシーはクスクス笑います。

「そうだ。幽霊の振りをして、トーマスをおどろかせてやろう」

トビーも手伝ってくれることになりました。

トーマスは夜の出発に備えて、オイルを点検しています。

「パーシーが事故にあったよぉ」

トビーが叫びます。

「情けないヤツだ。まいったな、ぼくの出発が遅れちゃうじゃないか」

「いま、線路の片付けをしてるんだけど、なにかへんなものが…」

「早く話せよ。ぼくはグズグズしていられないんだ」

「へんなものを見たんだよ。パーシーの幽霊みたいだった。こっちに向かってきているみたいだよ」

「ふん、だれが信じるもんか。こわがるなよトビー、ぼくがついているからさ」

「入れてくれ~、入れてくれよ~」

パーシーはすすり泣きます。

「入れてくれないなら、扉を壊して入っていくぞ~」

「うわああぁ、ああ、そうだ、もう遅いから行かなくっちゃ。アニーとクララベルを連れていかなくっちゃ~」

トーマスが戻ってきたのは、朝でした。

「どこに行っていたんだい?」

「え、あ、あの、君がパーシーのことで悲しんでいたからさ、じゃ、邪魔しちゃ悪いと思って、か、か、貨物置き場の方で寝ていたんだよ」

「そうだ、ごめん、こうしちゃいられないんだ。客車を集めに行かなくちゃ」

パーシーは作戦が大成功して、それはもう大喜びです。
トビーからすべてを聞きました。

「キャハハ、面白かったな~」

「アハハハ、みんなもトーマスが本当に幽霊にあったと思っているよ」

出演
・トーマス
・トビー
・パーシー

はじめ、トーマスは「ちっともこわくない」と強がっていましたが、やっぱりこわかったようですね。
貨物置き場で寝ていて、朝に帰ってきたのが、かわいかったです。


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